生活の学校は、今年度よりお茶の水女子大学という教育の場から、銀座へと開催場所を移し、新たな森田真生ゼミナールを開講します!

開講にあたって、森田真生さん、山本豊津さんからメッセージをいただいています。

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銀座での新しい学びの場の始まりに寄せて

 私たちはみな、この地球上のどこか具体的な土地に暮らしています。土地には、そこに固有の気候、地質、地形や景観があり、土地を取り巻くこうした種々の条件のなかで、私たちは自己を形成し、生活を紡いできました。

 自分はどこに暮らしているのか、という場所の感覚は、かつては山や川、海や空、そしてそこに暮らす生き物たちなど、地球とその生態系との関係に規定されてきました。しかし、急速な都市化を経て、世界人口の半数以上が都市に暮らすようになったいま、自分がどこに暮らしているか、という場所の感覚は、住所や「家」など、他者との生態学的関係から切り離された、単純で孤立した空間に、縮小しつつあります。

 とはいえ、どれほど場所の感覚が変容したとしても、人間が地球の大地の上に暮らしている事実は変わりません。災害など、大きな自然の変化で都市の大地が揺さぶられるとき、私たちはあらためてこのことを思い知らされます。

 昨年私は、「生活哲学学会 / 生活の学校」の主催で、半年強にわたるゼミを開講しました。気候変動とこれに伴い激甚化する自然災害、パンデミックや戦争など、どう受け止め、考え、応答すればいいかわからない事態に次々と直面しながら、私たちはいかに生き、どのように日々の生活を紡いでいくか、ともに考え続けてきました。今年はこの学びの場をさらに広げ、拠点を銀座に移すことにしました。

 学びの拠点として銀座という都市を選んだのは、都市こそ、現代の大多数の人間が生きていく場所だからです。都市において、土地から浮遊し、離脱しようとするのではなく、都市の環境、都市の自然を再発見、再認識していきながら、ここに新たな生活の哲学を育んでいく試みに挑戦したいと思います。

 里山や森林だけが私たちの守るべき「自然」ではありません。現代の人間の存在が「都市」という場所に深く編み込まれている以上、里山や森林の保全を考えるのと同じくらい、私たちは都市の環境を手入れし、育んでいくことを真剣に考える必要があります。

 そもそも都市と自然を、単純に二項対立で考えることはできません。実際、このゼミに力を貸してくださる田中淳夫さんはこれまで、ミツバチの力を借りて、銀座という街にもまた豊かで多様な自然があることを発見してこられました。田中さんの視線の先には、「銀座里山計画」という壮大な夢があるそうです(『銀座ミツバチ物語』)。そんな田中さんの思考とこれまで積み重ねられてきた実践との出会いもまた、このゼミを始める大きな原動力となりました。

 このゼミは、都市をフィールドとして人間と人間を取り巻くものたちとの関係を再考し、再発見していくための、新たな学びの場の試みです。都市の真ん中で、地球との繊細で複雑な関係を築き直し、他の生物種との生態学的関係を編み直していくための思考を模索していきます。

 ときにはゲストを招き、ときには街へ繰り出しながら、僕自身も銀座という街に学ばせてもらう一人として、みなさんとともに、これからの時代をどう生きていくかを、探究していきたいと思います。

 このゼミがこれからどのような学びの場に発展していくか、いまからとてもわくわくしています。ご縁のあったみなさんとの出会いを心から楽しみにしています。

                                   2022年3月 森田真生

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銀座の知力

 私の父が銀座7丁目の並木通りに東京画廊を開廊したのは1950年です。

 父は東京画廊の仕事から戦後の新たな人間関係を築きました。60年代の銀座にはアーティストだけでなく、多くの文化人が集い、70年の大阪万博まで創造的なコミュニケーションの場であり、学びの場でもありました。

 父の仕事が順調に発展できたのも、彼ら新しい知識人との交流があったからだと思います。

父の人間関係のおこぼれが私の人格形成に大きく影響したのは言うまでもありませんが。

 しかし銀座の街の役割は世界の情報を咀嚼して国内の各都市へ渡すことで、世界へ向けて発信する文化は育っていませんでした。むしろ後に世界に知られるようになったサブカルチャーは新宿など銀座以外の街で醸成されます。

 ようやく銀座発の60年代のアートやデザイン・食文化が世界に知られるようになったのは、80年代終りのバブル経済崩壊後です。同時に各都市は文化的インフラを整えますが、コミュニケーションや学びの場は徐々に失われました。多分この現象は先進国に共通するものかもしれません。

 今や世界は行き渡った資本主義経済によって、環境問題や格差問題などの共通な課題をかかえています。しかし専門分野化した近代の知性の在り方では対処できないのです。

 この難題に向うには私たち市民1人1人の知性を高めなければなりません。

 銀座の街のブランド力を借りて、新しい知性が出会う拠点を若き独立研究者の森田真生氏とそこそこ良い年令の銀座ミツバチプロジェクトの田中淳夫さんの出会いから新たなコミュニケーションの場となる学びの場を設けることになりました。

 まずゼミの形でスタートしますのでご興味ある方はご参加下さい。

                             2022年3月 東京画廊代表 山本豊津

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知の交感

 「制度が壊れて行く時は原点に立ち返って物事を考え試行錯誤することが次の制度の芽になる」

独立研究者を名乗る森田真生の、この一貫した研究態度と生き方は、混迷を極める現代においてますますその存在感を増している。

 私たちが日々生き生きと生き、働き、生活する日常に基軸を置いて、思考し行動すること。年齢、属性、性別、個々の目的をも超えた新しい価値観や世界観の萌芽は、こうした場から生まれるものだと、私は確信しています。未来を拓く若者には
バーチャル社会を離脱し身体性を伴う“知の創造”を。
企業や経営には
成功体験にひよることなく社会構想を視野に“事業構想”を。
そして日々の暮らしを生きる女性達と生活者には
そのリアリティをもって“真の個性と自立”を。

 世界有数の旗艦店、老舗が立ち並ぶ都市・銀座。ビルの屋上では、ミツバチがせっせと蜜を運ぶ。
 お茶の水女子大学で開催してきた生活哲学学会は、世界の知が交わる街銀座にて、より拓かれた学びの場「生活の学校」を開校いたします。

                             2022年3月 生活の学校代表 野上秀子

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【スケジュールと内容】

トークイベント(ゼミナール開始に先立つプレイベントです)
2022年4月10日(日)13:00〜16:00
詳細はこちら

ゼミナール
2022年5月〜2023年4月

森田真生さんを中心に、ときにはゲストを招き、ときには街へ繰り出しながら、個人個人の探求テーマをゼミ生と共に見つけるところから始まり、最終的には一年間の探求結果を発表していただく、そのようなイメージで進めてまいります。

独立研究者 森田真生

銀座ミツバチプロジェクト 田中淳夫
東京画廊代表 山本豊津
植物観察家 鈴木純
山フーズ主宰 小桧山聡子

※その他、ゼミの進行に伴いゲストを招聘予定(順次お知らせします)
※田中淳夫さん、山本豊津さんは、皆さまと一緒に学びます(ときにはゲストとして登場します)

ゼミ生が一同に会するスケジュール
※リアルとオンライン併催を予定しております
2022年5月29日(日)13:00~16:00
2022年6月26日(日)13:00~16:00
2022年7月31日(日)13:00~16:00
2022年8月28日(日)13:00~16:00
2022年9月25日(日)13:00~16:00
2022年10月30日(日)13:00~16:00
2022年11月27日(日)13:00~16:00
2022年12月11日(日)13:00~16:00
2023年1月29日(日)13:00~16:00
2023年2月26日(日)13:00~16:00
2023年3月26日(日)13:00~16:00
2023年4月30日(日)13:00~16:00

【定員】
20名

【料金】
年払い:264,000円(税込)
月払い:22,000円(税込)×12ヶ月

※学生料金
年払い:132,000円(税込)
月払い:11,000円(税込)×12ヶ月

【会場】
紙パルプ会館(銀座フェニックスプラザ)
所在地:東京都中央区銀座3-9-11
※リアルとオンライン併催を予定しております

【申込方法】
こちらのフォームからお申込みください↓
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdEjFN_ElHkRvJ0M3DKugaD-sAtQu3WL9D6SCHG-g-dH8uTeg/viewform

【主催】
生活の学校
代表:野上秀子
所在地:東京都中央区銀座 6-14-8 銀座石井ビル 4 階
Tel:03-6264-0817
Mail:contact@plpb.co.jp

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MEMBERS

独立研究者 森田真生
1985年、東京生まれ。独立研究者。2020年、学び・教育・研究・遊びを融合する実験の場として京都に立ち上げた「鹿谷庵」を拠点に、「エコロジカルな転回」以後の言葉と生命の可能性を追究している。著書に『数学する身体』(2016年に小林秀雄賞を受賞)、『計算する生命』、『僕たちはどう生きるか』、絵本『アリになった数学者』(脇阪克二・絵)、随筆集『数学の贈り物』、編著に岡潔著『数学する人生』がある。

植物観察家/植物生態写真家 鈴木純
1986年、東京生まれ。東京農業大学で造園学を学んだのち、青年海外協力隊に参加。中国で2年間砂漠緑化活動に従事する。
帰国後、仕事と趣味を通じて日本各地に残る自然を100ヵ所以上訪ね歩き、2018年にフリーの植物ガイドとして独立。徒歩10分の道のりを100分かけて歩く『まちの植物はともだち』観察会を中心に、保育の現場や地域おこし、企業のSDGsへの取り組みの協力など幅広く活動している。
2020年からは植物生態写真家として、雑誌・新聞・テレビ番組等の製作協力なども行う。2021年5月 東京農業大学 緑のフォーラム2021にて造園大賞を受賞。
著書に『そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい』、『種から種へ 命つながるお野菜の一生』(ともに雷鳥社)

山フーズ主宰 小桧山聡子
1980年 東京生まれ。多摩美術大学卒業。
「食とそのまわり」にある、もの・こと・感覚などをすくい上げ、考察・研究・創作・提案し、様々な形で身体に届けることを生業としている。
ケータリング、食を用いた広告撮影、イベント企画、ワークショップ、商品開発、執筆、講師など多岐にわたって活動。
山形ビエンナーレ2018では山形の食材と自身の関わりを一皿に現していく作品(映像、写真、テキスト、印刷物で構成したインスタレーション)を制作、発表。
その他、生産者と家庭をつなぐプロジェクトや、実験的な自主プロジェクトにも多数取り組んでいる。

※その他、ゼミの進行に伴いゲストを招聘(順次お知らせします)

銀座ミツバチプロジェクト 田中淳夫
1957年東京生まれ。日本大学法学部卒業後、多目的ホールなどを管理する株式会社紙パルプ会館へ入社。現在、取締役を務めるかたわら、「銀座の街研究会」の代表世話人として銀座の街の歴史や文化の研究にも取り組む。2006年より養蜂家の藤原誠太さんとの出会いがきっかけで、紙パルプ会館の屋上で養蜂をスタート。2009年『銀座ミツバチ物語』(時事通信社)2015年『銀座ミツバチ物語part2』(時事通信社)を出版。2010年「環境大臣賞」 授賞。伝統ある銀座をミツバチで新たに活気づけたいと様々な取り組みに奔走中。

※田中淳夫さんは、皆さまと一緒に学びます(ときにはゲストとして登場します)

東京画廊代表 山本豊津
1948年、銀座で開廊した日本初の現代美術企画画廊「東京画廊」の創始者である山本孝の長男として東京に生まれる。武蔵野美術大学造型学部建築科卒業後、衆議院議員村山達雄氏の秘書を経て、1981年より東京画廊に参画、2000年より代表を務める。世界のアートフェアへの参加や、展覧会や町づくりのアドバイザー務める傍ら、日本の古典的表現の発掘・再発見や若手アーティストの育成など手がけている。
全銀座会催事委員として銀茶会の審査員やギンザギャラリーズの運営にも係わる。
主な著書に『アートは資本主義の行方を予言する』(PHP新書)、共著に『コレクションと資本主義』(角川新書)『教養としてのお金とアート』(KADOKAWA)。

※山本豊津さんは、皆さまと一緒に学びます(ときにはゲストとして登場します)

生活の学校代表 野上秀子
(株)西武百貨店入社。業界或いは会社内における女性初の役職を経験。百貨店事業・文化事業の双方に従事。池袋コミュニティ・カレッジ館長、西武池袋本店婦人雑貨部長、仙台店店長、西武渋谷店販売部長を歴任。有楽町西武最後の店長を務める。同社本部CSR担当を経て、2011年(株)そごう・西武執行役員、2013年~2017年、セブン&アイ・ホールディングスのグループ会社(株)セブンカルチャーネットワーク代表取締役社長。上場企業社外取締役を経て、2018年、故辰巳渚と(株)生活の学校設立。現在は生活の学校の代表を務める。