生活哲学学会カリキュラム

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第Ⅳ期 開講にあたって

ー個性が職業をつくり、生き方が社会を変えるー

未だ終息もままならないコロナ禍において生活哲学学会はお陰様で 第Ⅳ期を迎えます。
既存の価値観や社会の制度までもが壊れてゆく今こそ原点に立ち戻り、より本質的なことへの希求を深めること。
”生活を哲学する”そのことの意義を強く確信するものです。

生活とは?仕事とは?会社とは?幸せとは?生きるとは?人間とは?

未来を拓く若者には
バーチャル社会を離脱し身体性を伴う”知の創造”を。
企業や経営には
成功体験にひよることなく社会構想を視野に、”事業構想”を。
そして日々の暮らしを生きる女性達と生活者には
そのリアリティをもって”真の個性と自立”を。

このたび独立研究者森田真生氏の意欲的な参画を得て等身大の生活というフィールドからいきいきと生きるとは、真の自立とはを考えていきます。

生活哲学学会/生活の学校 野上秀子

CURRICULUM

1 クリエイティブな身体
6/05 (土)13:00-16:00         甲野善紀×佐渡島庸平

2 森田真生ゼミ①
6/19 (土)13:00-16:00         森田真生

3 「良い本」が生まれる環境を出版流通から考える
ー出版流通の過去、現在、未来ー
7/03 (土)13:00-16:00         鎌田裕樹

4 森田真生ゼミ②
7/17 (土)13:00-16:00         森田真生

5 センスオブオペラント
8/07 (土)13:00-16:00         半田智久

6 森田真生ゼミ③
8/21 (土)13:00-16:00         森田真生

7 常識と共通感覚
8/28 (土)13:00-16:00         半田智久

8 価値観の反転ー軍艦島との出会い
9/04(土)13:00-16:00          新藤力

9 森田真生ゼミ④
9/18(土)13:00-16:00            森田真生

10 ジャパンインテリアデザインの系譜とその発想
10/02(土)13:00-16:00        新藤力

11 森田真生ゼミ⑤
10/16(土)13:00-16:00        森田真生

12 美のありかー町へ飛び出したアート
11/06(土)13:00-16:00        新藤力

13 森田真生ゼミ⑥
11/20(土)13:00-16:00        森田真生

14 世界を驚かせた北斎と「北斎漫画」
12/04(土)13:00-16:00    浦上満 / 浦上満×奥山史登×野上秀子

15 意図の縁と記憶
12/18(土)13:00-16:00           半田智久

第Ⅳ期カリキュラムによせて

ー個性が職業をつくり、生き方が社会を変えるー

「職業選択の自由」これは前世紀からのコモンセンスであったと思う。僕なんかが生きてきた時代はまさにこの「豊富なメニューから好きなものを選べる」というつくりが、まさに世の中が豊かになったと実感できるシンボルであった。ただ、それはそうであっても、職業欄などに読み切れないほどの選択肢が陳列され、さて自分が大人になったら、どれを選ぶかな、、などとみていくと、どれもこれもピンと来なくて、たいていは最後に「その他いずれでもなし」といいたげに置かれている「自由業」というのに唯一惹かれたものだった。つまり、選択の自由ということはあくまで選択というお仕着せの構成を前提としていて、そのなかでのふるまいだった。だから、その実際は、選びようのなかった封建制をやっと抜け出したあとの小さな幸せ感、別のいい方をすれば、かわいい自由遊戯にすぎなかった。つまり選択の自由とは一時しのぎの停車場、中継ぎの一服というところだったのだ。

過去形なのである。いくら並べても売れなくなった。自由選択の時代にまさに輝やきを放った職に就かれ、功をなした野上女史がその時代を経たこの今だからこそ、語るのだろう、「個性が職業を『つくる』」のだ。どれを選ぼうかな、迷っちゃうなどという微笑みの台詞は、バックミラー越しに聞こえてくる過ぎ去りし山彦だ。そんな残響に引きずられて、これからの時代に職探しをするなどはノスタルジックな発掘調査というしかない。

職人の時代は、ずっともうせんの中世に終わったという。それは近代の産業革命が機械とそれを軸にした組織体制のもとに多くの細分化された職業と職能を生み出し、そこに資本制が労働を商品化することで労働者という職業人を発明したためであった。「大きくなったら何になるの」と問われて差し出されるメニューが職業選択の自由というわけだった。個性はその選択肢のほうにあるらしく、人はその個性を選ぶ自由があるといわれる。自分が何だかわからないし、何をしたいかもわからない。だから、そのアイデンティティ・メニューは、ありがたいものにみえさえした。そんな前世紀を通過して、21世紀21年の今がある。

「あなたの個性が職業を『つくる』」というのは一巡りして、ふたたび職人の時代が到来したということではないだろうか、今期の生活哲学学会のこのシリーズを前にして、僕はとりあえずそんな具合に解釈してみた。これは一二三次産業の時代が終わり、それらを全部足しあわせた六次産業の時代がやってきた、ということと重ね描きできる。ここに到って六次産業がどうして成り立ちうるのか、それを担う人はおのずと職人になるというとすれば、それはどういうこと? そんなことを自問しながら、そうした生き方をする人たちが次つぎと現れてくれば、それはこれからの社会は様変わりするね、と他人ごとのように語りながら、すでに自分たちがその道に踏み出していることを自覚する、そんな一年になりそうな気がしています。

8/7・8/28・12/18 担当

お茶の水女子大学 半田智久

日本人は古来、四季の流れに寄り添って生活を営んできました。そもそも、日本に限らず、あらゆる文明を支えてきたのは、1万年以上前に始まった「完新世 (Holocene)」の穏やかな気候です。比較的安定した気候のもと、自然が同じリズムで季節を「反復」してきたことが、私たちの暮らしを暗黙の背景として支えてきました。
ところが近年、これまで反復されていたはずの自然のリズムが、あちこちで変調をきたし始めています。今年の京都では、平年より12日早く、観測史上最も早い3月16日に桜(ソメイヨシノ)の開花宣言がありました。豪雨や台風、豪雪や猛暑の激しさも増しています。このままでは今世紀末には、四度以上地球気温が上昇する可能性があるとも言われています。これは、過去1500万年のあいだ地球が経験してこなかったレベルの温暖化です。 これまで人間活動の安定した背景として作動してきた地球環境はいま、大規模な気候変動やパンデミック、あるいは生態系の崩壊や生物種の大量絶滅といった形で、人間の放縦な活動に繊細に応答し始めています。自然環境が、もはや同じリズムを反復しなくなってきているいま、私たちはどのような人間像と世界像のもとで、これからの時代を生きていけばいいのでしょうか。 私が敬愛する数学者である岡潔は最晩年、「新たな人間像と宇宙像の建設」を訴え、学生たちに向けて情熱的な講義をくり広げました。その講義のなかで、岡潔は次のように、学生たちに語りかけています。

人は一日一日をどう暮らせばよいか。 こんなことは普通、放っておいても自ずからよろしきにかなうことで、問うまでもないのですが、いまは普通の時代ではありません。 実際、この講義の最後に毎年、作文を書いてもらうのですが、それを読んでいますと、みなさん口々に「来る日も来る日も生き甲斐が感じられない」と嘆いているように聞こえます。みなさんにとって、一日一日をどう過ごせばよいかが、深刻な問題になってきている。『数学する人生』(新潮社)より

岡潔が学生たちに語りかけていた1970年代の当時、日本では高度経済成長に伴う急速な工業化によって、ゴミ問題や公害問題など、環境への過剰な負荷が表面化し始めていました。また、1972年にはローマクラブ報告『成長の限界』が発表され、人口増加や環境汚染などの当時の傾向がそのまま続けば、「100年以内に地球上の成長は限界に達する」との警鐘が鳴らされました。 現在の私たちは、ゴミ問題や公害問題など、当時からすでに表面化していた諸問題よりもさらに複雑で、多くの変数が絡み合う、地球規模の環境危機に直面しています。この意味で、現代という時代の「普通でなさ」は、より一層深刻さを増していると言えるのではないでしょうか。
今年から始動する本ゼミでは、あらためて「一日一日をどう暮らしていくか」を、参加者のみなさんとともに追究していきます。これまでの生活をただ無自覚に「反復」するだけでなく、新たな人間像と世界像を紡いでいくためにも、一日一日を「どう生きるか」を、ともに模索していきましょう。「生活哲学学会」の場にふさわしく、この新しい学びの場が、生活を創造する場として、豊かに育っていくことを願っています。

森田真生ゼミ 6/19・7/17・8/21・9/18・10/16・11/20

2021年3月 森田真生

第Ⅳ期カリキュラムによせて

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